フーヌイユのいまとこれから vol.2

フーヌイユの絵本で伝えたいこと

フーヌイユという国頭村宜名真に伝わる食文化を次世代につなぐため、スローフードの「海の食文化を伝える絵本づくりプロジェクト」のもと、『宜名真のフーヌイユ』という一冊の絵本ができあがりました。そこには、自然と共生してきた先人たちの知恵や、自然の恵みを享受し感謝や祈りを捧げる姿、そこに広がる豊かな風景が色鮮やかに描かれ、力強くしなやかな文字とともに、フーヌイユを伝えています。

この動画は、日本スローフード協会が「【味の箱船絵本シリーズ】制作の軌跡〜宜名真のフーヌイユ〜」として、絵本の制作に携わった地域の人たちの思いや、制作の軌跡を記録するために作られたものです。

絵本づくりを通して、フーヌイユをめぐるさまざまな記憶があることを感じました。家庭によっても個人によっても、関わりかたが異なり、語られかたにも違いがあります。また、フーヌイユという魚やその漁法だけを切り取ることはできず、そのまわりにあるさまざまな営みや生態系があることも知ることができました。そのようななかで、『宜名真のフーヌイユ』という一冊の絵本として形にすることは、決して容易いものではなく、とても勇気がいること。それでも、このまま放っておいたらなくなってしまうかもしれない食材・食文化を守り繋ぎたいという意思表示として、意味のあるものができあがったと思っています。

そして、大切なのはこれから。絵本をつかって子どもたちへの読み聞かせや食育など守り繋いでいく活動につなげていきます。

国頭村の学校や図書館、公民館へ寄贈させていただきました。今後は国頭村を中心に絵本を販売する場所をすこしずつ増やしていく予定です。
絵本を手に取っていただいた方にも、これから手に取ってくださる方にも、一冊に込められた思いが届きますように。
そして、みなさんにもフー(富や運)がありますように。

協力/宜名真区・日本スローフード協会・スローフード琉球・国頭漁業協同組合
撮影/崎山すなお・仲間勇太
企画・執筆/山田沙紀(名護博物館)

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