歴史を知るともっと美味しい! やんばる沖縄そば紀行
沖縄のソウルフード、沖縄そば。
沖縄そばは、1日あたりの消費量は、15~16万食※1と言われており、「沖縄県の農山漁村の郷土料理百選」(農林水産省主催)にも、ゴーヤーチャンプルー、いかすみ汁と共に選ばれ、広く県民(県外の人にも)に愛されています。
(※1沖縄生麺協同組合HP参照)
2022年3月現在、食べログで沖縄県の沖縄そば屋を検索すると856件が出てきます。
ちなみに、沖縄県のラーメン屋は389件。
単純比較はできませんが、沖縄そばがいかに身近な食べ物で、人気の食文化だという事が伺えます。
現在、スープ、麺、具など、お店ごとに工夫を凝らした、個性豊かな沖縄そば屋さんがたくさんあり、気軽に色々な味を楽しむことができます。
今回は、そんな身近な「沖縄そば」の歴史を紐解きながら、現在の沖縄そばの取り組みと、個性豊かなやんばるの沖縄そば屋さんを紹介いたします。
非常に身近な沖縄そばですが、意外とその歴史は知らないもの。
「歴史を知るともっと美味しい!」
そんなコンセプトで、映像をまとめました。
今回、沖縄そばの歴史を伺ったのは、
沖縄そばを愛してやまない、沖縄そば人「呉屋親方」こと、呉屋博典さん。
呉屋親方の紹介(ブログ『「すば」らしい日々 第2章』より抜粋)
『子どものころからの沖縄そば好きが高じて各地の沖縄そばを20年以上食べあるき、2013年より沖縄そば専門ブログ「『すば』らしい日々」を開設。掲載店舗数約800軒。(てぃーだブログ沖縄そば部門1位。)2020年4月よりブログの容量オーバーにより第一章終了。2020年10月より、「『すば』らしい日々第二章」に移行し、更にパワーアップしたサイトを運営。
伝統的な麺の作り方や、沖縄そばの歴史のほか、沖縄そばに関係する「塩」や「小麦粉」、「味覚」など、あらゆる角度から魅力を発見できる「沖縄そば講座」の開催などの教育普及活動も行っており、沖縄そばに関係する様々な調査・研究を行っている。
「この世にマズイそば屋は無い」が信条。』
また、沖縄県内に3店舗ある沖縄そば屋「金月そば(キンチチそば)」のオーナーで、沖縄県麦生産組合の副会長をされている金城太生郎さんに、お店としての取り組みとこだわり、麺の原料となる「小麦の生産」に取り組まれている背景をお聞きしました。
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今回、映像でご紹介した3店舗の情報はこちら
(営業日などの情報は、各店舗のHP等で最新情報をご確認ください。)
(編集後記)
沖縄そばが文献(新聞)に初登場したのが、明治35年の支那そば屋の広告でした。
その3年後の明治38年にオープンした「きしもと食堂」さんは、映像の中の呉屋親方のお話にもありましたが、その存在自体が沖縄そば業界の伝説。現在4代目にバトンがわたり、今もたくさんのお客様が行列をつくっています。
客席からカウンター越しに少し見えた厨房の中は、年季が入ったコンクリート造りの釜台に、大きな大きな鍋が2,3個、ドドンと鎮座。
グツグツと麺を茹でる湯が湧きたち、木蓋の間から漏れる蒸気とカツオをベースにした出汁のいい香りが混ざり合い、その中でテキパキと働く熟練の職人さんたちをみていると、気分は完全に明治・大正時代にタイムスリップ。
これからも、いつまでも、沖縄そばの歴史を後世に紡いでいってほしいと切に願うのでした。
そして、「沖縄そば」文化を継承しさらなる発展を目指すことを目的に設立された「沖縄そば発展継承の会」さん。
その会では、明治35年頃に食べられていた「唐人そば」の再現にも取り組まれています。
その会で修行され、独立された「伊豆味そば」さんでは、その時の味を再現した唐人そばを食べる事が出来ます。
見た目の醤油の深い色からは想像できない、非常にあっさりした、やさしいスープにびっくりしました。
きっと、現代の味覚に合わせて変化させているのかなと思いますが、黒々としたスープの奥に、沖縄そばの歴史の深さを感じました。
また、沖縄そばの原料と向き合った結果、小麦の生産に目を向け、農家さんと一緒になり、かなさん小麦の生産と普及に取り組む「金月そば」の金城太生郎さん。
安くて手軽な海外産の小麦があるなかで、手間も時間も人手もかけて、県産にこだわるその姿勢に、沖縄そばの未来を感じました。
今回の映像は、限られたスペースであったため、3店舗のみの紹介となりましたが、今回ご紹介できなかった店舗にも、それぞれにこだわりや独自の取り組みをされているかと思います。
沖縄の大切な食文化として、また、地域それぞれの特徴を生かし、日々、美味しい沖縄そばを提供してくれるお店に感謝をして、これからも1杯を楽しんでいきたいと思います。
(担当:小泉)
出演/呉屋博典(沖縄こどもの国 こども未来課 課長)
金城太生郎(金月そば オーナー)
きしもと食堂・伊豆味そば・金月そば
撮影/佐久間恵美・小越友也
映像編集/佐久間 恵美(宜野座村文化センター)
企画・制作/小泉 伸弥(やんばる畑人プロジェクト 事務局)